故郷と呼べるような場所はリドンしかない… けれど、リドンにいてさえ自分はよそ者だと感じる。
滅びゆく地球から逃れて、祖先はケンタウリに安息の地を見つけた。人類の安全な故郷だ。ここ、マラクベル星系の衛星リドンにも入植した。自分たちの星だと呼べる、安らげる場所を築いた。
けど、自分は違う。孤独。他に類を見ない遺産と遺伝子によって、孤立している。たまに、ひとりでさまようことがある。この星のブラックマーケットやジャンクショップで通貨として使える遺物を求めてのことだ。そういうときには、影がのしかかってくるような感じがする。声が聞こえるんだ。声が届く距離の、ほんの少し外側からの声がこの星に眠る太古の秘密が、自分の中の人間ではない部分を呼んでいるかのようだった。
リドンは自分の居場所ではないのだ。夜ごと空を見つめる。星々のどこかに、自分の居場所はないかと思って。あるいは、追うべき目的はないかと。自分の人生はトラベラーたちのもとへ通じているのだと思う。トラベラーとは、人類救済のための戦いを導く勇者たちだ。父のように。
Orion Aslanは偉大なトラベラーだったという。百年に及ぶ統治において、数十の星系への幾度もの遠征を指揮した。光速で旅するOrionは、いつまで経っても若かった。リドンの民のために溌剌と奮闘する、英雄的な指導者。
我々の方舟船が到着するよりもはるか昔に星団に入植した、強大なエイリアン的文明、Celestialに対する人類の戦いをも、勇敢に指導した。Celestialのテクノロジーは我々を凌駕している。勝ち目のない戦いに堂々と立ち向かうOrionは、まさしく勇者だった。ある日を境に、Orionは帰ってこなかった。
Orionが最後のエクソダスに向かったときにはまだ子どもだった自分には、Orionの記憶などない。父について知っていることは、すべて物語と伝説から知ったことだ。父に何があったのか、思いにふけることがある。どんな運命のもとに、父は斃れたのか。どんな運命が、自分を待っているのか。
星々に眠る何かを見つけてみたい、そう願わずにはいられない。そこに答えは見つかるのだろうか?自分の能力と、やがて何らかの深甚な運命が訪れるに違いないという揺るがぬ確信を裏づける何か… 秘密のようなものがあるのだろうか?
次の一歩が最期の一歩になるかもしれない。だが、恐れはない。さらなる何かが待っている可能性を受け入れる覚悟はある… まずは自分が何者なのかを知らなければならない!
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